退職金制度がない会社はやばい?割合や違法性の真相と後悔しない老後対策
「自分が勤める会社には退職金制度がないと知って愕然とした」「求人票を見たら退職金なしと書かれていたが、この会社はやばいのだろうか」と、将来の生活設計に不安を抱くビジネスパーソンは少なくありません。終身雇用を前提とした従来の日本型雇用が揺らぐなか、退職金の位置づけは劇的な変革期を迎えています。
老後資金2000万円問題をはじめとする将来不安が叫ばれる一方で、あえて退職金を設けない代わりに月々の給与を高く設定する成長企業も増えています。退職金制度がない会社の実態や法的な位置づけ、そして将来困らないための具体的な資産防衛策を解き明かしていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:退職金制度がないこと自体に違法性はなく、国内企業の約2割〜2.5割には退職金制度が存在しない。
- 要点2:「退職金なし=ブラック企業」とは限らず、基本給への還元や成果主義を徹底している優良企業も存在する。
- 要点3:制度がない会社で働く場合は、iDeCoや新NISA、企業型確定拠出年金を駆使した自助努力による資産形成が不可欠である。
【法律と実態】退職金なしは違法?約2割の企業に制度が存在しない理由
労働基準法において、企業が従業員に退職金を支払うことは義務付けられていません。日本の労働法制上、退職金は法定福利費ではなく、あくまで企業が任意で設定する「法定外福利」に分類されます。就業規則や労働契約書に退職金に関する規定がない限り、退職金なしであっても違法性は一切ありません。
厚生労働省が実施した「就労条件総合調査」の最新データによると、退職給付(一時金または年金)制度を導入している企業の割合は全体の約75.1%にとどまります。つまり、日本国内のおよそ4社に1社(約24.9%)は退職金制度を設けていないのが偽らざる現実です。
規模別に見ると、従業員1,000人以上の大企業では約90%が退職金制度を維持しているのに対し、従業員30〜99人規模の中小企業では制度の導入率が7割前後にまで落ち込みます。新興のITベンチャーやサービス業、外資系企業を中心に「退職金を積み立てる代わりに、現役世代の給与やインセンティブへダイレクトに還元する」という設計を採用するケースが顕著です。

【データで比較】退職金相場と「制度なし企業」の給与体系の違い
一般的な退職金の相場と、退職金制度を持たない企業の給与モデルにはどのような構造的差異があるのでしょうか。定年まで同一企業に勤め上げた場合の相場データを踏まえ、比較検証を行います。
| 区分・雇用モデル | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| 大卒・大学院卒(定年退職) | 平均支給額:約1,896万円〜2,000万円(勤続35年以上) | 大企業平均:約2,200万円 中小企業平均:約1,100万〜1,400万円 | 過去20年で約1,000万円減少傾向。過度な依存は危険。 |
| 高卒(定年退職) | 平均支給額:約1,400万円〜1,600万円(勤続40年前後) | 大企業平均:約1,700万円 中小企業平均:約900万〜1,200万円 | 現場系職種では中小企業退職金共済(中退共)の活用が多い。 |
| 退職金制度なし(高還元型) | 基本給・賞与が高水準(同業他社比+15〜25%程度) | 年俸制、業績連動賞与、インセンティブ重視 | 手取りを自ら運用・貯蓄できる自律型人材には極めて有利。 |
| 退職金制度なし(低賃金型) | 基本給が低く、退職金の積立原資も確保されていない | 業界平均以下の給与水準かつ福利厚生が希薄 | 将来的な資産形成が極めて困難。早期の転職検討を推奨。 |
勤続年数別の相場を見ると、勤続10年で約150万〜300万円、勤続20年で約600万〜1,000万円前後がひとつの目安となります。しかし、終身雇用が崩壊し転職が一般化した現在、退職金を「満額受け取れる人」そのものが少数派になりつつあります。
噂の真偽を徹底検証|「退職金がない会社はやばい・ブラック」という誤解と本質
インターネット上の掲示板やSNSでは「退職金がない会社はやばい」「退職金がないのは使い捨てのブラック企業」といった極端な言説が散見されます。この真偽を確かめるには、企業の財務戦略と賃金設計の意図を正確に見極める必要があります。
退職金制度なしで給与が高い正当な理由
退職金制度をあえて設けない企業には、明確な合理性が存在します。退職金の原資は、本来毎月支払うべき給与の一部を会社側がプール(内部留保)しているものに他なりません。
特に流動性の高いIT業界やコンサルティング業界、急成長中のスタートアップでは、「30年後の退職金よりも、今の高い月給やボーナスで成果に報いる」という報酬ポリシーを採用しています。これによって優秀な人材を即座に引きつけられるほか、退職金の積立に伴う長期的な財務リスクを回避できるメリットがあります。
「即刻離れるべきやばい会社」の典型パターン
注意しなければならないのは、給与水準が業界平均を下回っているにもかかわらず、退職金制度も存在しない企業です。このタイプは単に従業員への総人件費を削ることで利益を捻出しているケースが多く、将来の生活防衛が立ち行かなくなるリスクを孕んでいます。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えたリアル
実際に退職金制度のない企業で働く現場社員は、自身のキャリアと将来をどう捉えているのでしょうか。取材やコミュニティ調査から見えてきたリアルな証言を検証します。
大手IT企業から急成長スタートアップへ転職した30代のエンジニアは、当時の心境を次のように語ります。
「前職では毎月引かれていた退職金積立がなくなった分、基本給が大幅に上がりました。手取りが増えた資金を全額新NISAとiDeCoに回した結果、会社の退職金運用利回りを遥かに上回るペースで資産が増えています。会社任せにするより、自分でコントロールできる今のほうが安心感があります」
一方で、事前のリサーチ不足により後悔の念を吐露する声もあります。中小規模のサービス業に勤める40代社員の手記には、切実な実態が記されていました。
「入社時は給与の額面ばかり気にして、就業規則の退職金欄を確認していませんでした。40代半ばになって周囲が退職金の手続きについて話しているのを聞き、自分の会社には1円の退職金もないと知って青ざめました。毎月の生活費で手取りを使い切ってしまっていたため、貯金もほとんどなく、完全に計画が狂いました」
現場の明暗を分ける最大の境界線は、「会社が退職金を用意してくれない前提で、自ら資産形成の舵を握っていたかどうか」という一点に集約されます。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
雇用とキャリアの社会学的な変化を鑑みると、企業が従業員の老後まで丸抱えする「パターナリズム(父権的保護)」の時代は終焉を迎えました。退職金制度のない会社にとどまるべきか、それとも制度の整った企業へ転職すべきか、明確な判断基準を提示します。
退職金がない会社に向いている人
- 資産運用のリテラシーが高い人:増えた手取り給与を浪費せず、新NISAやiDeCoへ計画的に拠出できる自律性を持つ。
- 数年スパンでのキャリアアップを前提とする人:1社に定年まで勤め上げる意思がなく、スキルと年収を伸ばしながら転職を重ねるキャリア観を持つ。
- 給与水準そのものが高い企業に在籍している人:インセンティブや前払い退職金制度のメリットを最大限に活かし、生涯獲得年収で他を圧倒できる。
退職金がない会社を避けるべき人・転職を検討すべき人
- 貯蓄や家計管理が苦手な人:手取りが多いとあるだけ使ってしまう傾向があり、強制的な天引き・積立システムがないと貯まらない。
- 基本給が低く退職金もない環境にいる人:「給与が安い+退職金ゼロ」の二重苦に陥っており、長期的に搾取されている構造にある。
- 1つの組織で安定して長く勤め上げたい人:終身雇用的な安心感を重視し、定年退職時のまとまった一時金を住宅ローン返済や老後資金の柱に据えている。

退職金なしでも安心!老後資金問題を乗り切る実践的防衛策
退職金制度がない会社に身を置きながら、豊かな老後資金を盤石にするための具体的な防衛策を整理します。
1. 個人型確定拠出年金(iDeCo)の限界枠活用
企業年金のない会社員であれば、iDeCo(イデコ)の掛金を月額最大23,000円(年額276,000円)まで拠出可能です。掛金全額が所得控除の対象となるため、毎年の所得税・住民税を大幅に軽減しながら、非課税で自分年金を構築できます。
2. 新NISAによる中長期のインデックス運用
年間投資枠360万円、生涯非課税保有限度額1,800万円の枠を使い、全世界株式やS&P500などの低コストインデックスファンドへ毎月一定額を積み立てます。仮に毎月5万円を30年間、年利5%で運用した場合、元本1,800万円に対して最終資産は約4,160万円に達し、一般的な大企業の退職金相場を大きく上回る試算となります。
3. 企業型確定拠出年金(企業型DC)や中退共の確認
退職一時金制度はなくとも、企業型確定拠出年金(企業型DC)や中小企業退職金共済(中退共)を代替として導入している企業は多数存在します。企業型DCを導入している企業では、会社が毎月掛金を拠出してくれるほか、加入者自身が上乗せ拠出を行う「マッチング拠出」を活用することで、さらに税制上の恩恵を受けられます。
【退職金制度がない会社】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:会社の業績悪化を理由に、途中で退職金制度が廃止されることはありますか?
A1:就業規則の不利益変更に該当するため、会社側が一方的に廃止することは労働契約法上、原則として認められません。ただし、労使間の合意や合理的な理由が存在する場合、代わりの手当支給や基本給への組み込みといった経過措置を経て廃止・移行される事例はあります。
Q2:求人票に「退職金あり」と書かれていたのに、入社後の就業規則になかった場合は請求できますか?
A2:求人票の記載内容は「募集条件の見込み」とみなされることが多く、契約内容そのものは入社時に交付される労働条件通知書や就業規則が優先されます。重大な虚偽表示として会社側に損害賠償を請求できる可能性はありますが、退職金そのものを自動的に支払わせることは法的に極めて困難です。入社前の書面確認が何より重要となります。
Q3:退職金前払い制度を選択した場合のメリット・デメリットは何ですか?
A3:最大のメリットは、若いうちから自由に使える資金が増え、自分自身で新NISAなどの高効率な運用に回せる点です。デメリットとしては、毎月の給与扱いとなるため所得税や社会保険料の負担が増加する点、および退職所得控除という強力な税制優遇が使えなくなる点が挙げられます。
Q4:20代〜30代で退職金がない会社にいる場合、転職すべきかどうかの見極め基準は?
A4:現在の「市場価値に見合った給与」が得られているか、そして「将来に通用するスキルが身につく環境か」で判断してください。給料が低く退職金もないまま長居するのは危険ですが、他社で通用するスキルが身につき、同年代平均より高い年収を得られているのであれば、退職金の有無を理由に焦って転職する必要はありません。
まとめ:退職金の有無に惑わされず「生涯手取り」と自律的な資産形成で勝つ
退職金制度がない会社に対して過度な不安を抱く必要はありません。重要なのは「退職金という不確定な将来の約束」に依存するのではなく、現在の給与水準やキャリア価値を冷静に見極め、自らの手で資産形成の舵取りを行うことです。
手取り給与を最大化し、iDeCoや新NISAなどの公的非課税制度をフル活用していけば、従来の退職金水準を大きく上回る資産を築くことは十分に可能です。自身の雇用契約と給与体系の現在地を正しく把握し、将来を見据えた一歩を踏み出していきましょう。 (出典: 退職 金 制度 が ない 会社(Yahoo!ニュース))